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オレンジ・ランプ

作品情報
オレンジ・ランプ

作品紹介

実話をもとに描く、優しさに満ちた希望と再生の物語

あなたの大切な人が認知症になったら?あるいは、あなた自身が認知症になったら?これは、39歳で若年性認知症と診断された夫とその妻の9年間の軌跡を実話に基づき描き出す、優しさに満ちた希望と再生の物語。

“貫地谷しほり×和田正人”で描く、笑いと涙の夫婦の
9年間の軌跡

39歳で認知症と診断されながら、10年後の現在も会社勤務を続けつつ、認知症本人のための相談窓口の活動や自身の経験を語る講演などを行っている丹野智文さん。本作は、認知症とともに笑顔で生きる丹野智文さんの実話に基づく物語。
認知症と診断され、不安に翻弄される主人公夫婦・晃一と真央の気持ちを前向きに変えたのは、元気に人生を歩む“認知症の先輩たち”との出会いだった・・・。真央を演じるのは、連続テレビ小説「ちりとてちん」(07)のヒロイン役で知られ、ドラマ「大奥」(23)ほか映画・ドラマ・舞台で活躍する貫地谷しほり。夫を守ろう、“世話”をしてあげようという気持ちから脱却し、一緒に人生を歩んでいこうと前を向く真摯な姿を、大らかな明るさで演じる。そして晃一役には、映画『THE LEGEND&BUTTERFLY』(23)、『Winny』(23)など話題作への出演が続く和田正人。認知症本人が感じる不安や恐怖、そして人生の希望を見出していく心の軌跡を、ナチュラルな演技と朗らかな笑顔で体現した。
実力派俳優の二人がダブル主演、笑いと涙の夫婦の日々が、晴れやかな感動を生み出す。
そして脇を固めるのは、個性豊かな俳優陣。晃一と真央に温かな未来を見せてくれる、“認知症の先輩”加藤役に山田雅人、“認知症本人ミーティング”の進行役・藤本を赤間麻里子、そして認知症の夫を持つさゆり役に中尾ミエ。晃一とより深く心を通わせていく、幼なじみの隆裕役に伊嵜充則、人情味ある島崎社長役を赤井英和。

「認知症になったら人生終わり」なんかじゃない

介護の世界を描き、13万人以上の人々に感動を伝え続けている映画『ケアニン』シリーズ――『ケアニン~あなたでよかった~』(17)、『ピア~まちをつなぐもの~』(19)、『ケアニン~こころに咲く花~』(20)。本作はその製作スタッフによる最新作だ。日本では認知症のシンボルカラーとして使われるオレンジ色。本作のタイトル「オレンジ・ランプ」は、“小さな灯でも、みんなで灯せば世界はこんなにも明るくなる”という、認知症になっても安心して暮らせる社会づくりを象徴する。そしてそんな社会づくりに本作が繋がるようにという願いがこのタイトルには込められた。

監督は、上海国際映画祭最優秀作品賞受賞作『村の写真集』(05)、『あしたになれば。』(15)など、人との絆や希望を描いてきた三原光尋。主題歌は、叙情的な世界観で注目されるソロユニットTHE CHARM PARKが本作に向けて書き下ろした「セルフノート」。

私達は、晃一や真央とともに、「認知症になったら終わり」という偏見を捨て、「認知症になっても人生を諦めなくていい」ことを実感し、そのための手立てを見出していく。認知症であることをオープンにする意義や、仕事や日常生活を続けるための工夫。「自分で出来ることは自分でしたい。困った時だけ助けてほしい」といった気持ちを伝える勇気。そして、気持ちを伝え合うことによって家族や職場と見出していく、より良い大らかな環境。また、誰にとっても大切なのは、辛い時には周りを頼っていいのだということ…。

認知症本人や家族が、認知症とどのように向き合えば笑顔で生きられるのか。認知症になっても安心して暮らせる社会とは? その一つの指標となり得る本作は、年齢を重ねていく全ての人がより良く生きるためのヒントにも満ちている。

ストーリー

妻・真央や二人の娘と暮らす39歳の只野晃一は、充実した日々を送るカーディーラーのトップ営業マン。そんな彼に、顧客の名前を忘れるなどの異変が訪れる。下された診断は、「若年性アルツハイマー型認知症」。驚き、戸惑い、不安に押しつぶされていく晃一は、とうとう退社も決意する。心配のあまり何でもしてあげようとする真央。しかし、ある出会いがきっかけで二人の意識が変わる。「人生を諦めなくていい」と気づいた彼ら夫婦を取り巻く世界が変わっていく…。

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コメント

  • 只野真央 役 貫地谷しほり

    和田正人さん演じる若年性認知症になった夫役の、モデルとなられた丹野智文さんがとても喜んでくださっていて、「そのままだぁ」とおっしゃっていました。こんなに優しい世界が現実にもあるのだと心が熱くなりました。分からないながらも一生懸命共に歩む妻を大切に、そしてスタッフキャスト一丸となって制作しました。是非この優しい物語を観にいらしてください。

  • 只野晃一 役 和田正人

    私が演じる只野晃一は、39歳で若年性アルツハイマー型認知症を発症した役どころですが、映画を観ていて「あれ?」っと思うところがあるかと思います。なんだか病気を抱えている人には見えないな、と。むしろ誰よりも明るく楽しく生きている人だな、と。只野晃一のモデルとなった丹野智文さんに、私が初めてお逢いした時にも同じことを思いました。若年性アルツハイマー型認知症を発症してから10年ほど経過しているにも関わらずです。真相はぜひ映画館で確認して下さい。そしてこれを機に、改めて家族や仲間との絆の素晴らしさを感じて欲しいです。人の未来は希望に満ち溢れていると確信できると思います。

  • 企画協力 丹野智文

    今回、私のことが映画になるのは嬉しさと恥ずかしさが入り混じった気持ちです。私の役を和田正人さん、そして妻の役の貫地谷しほりさん、2人とも優しい雰囲気で聞いた時にはよかったと思いました。
    この映画をとおして、認知症と診断されてからの葛藤や周りの人達の関わりから認知症と診断されても笑顔で前向きに過ごす事が出来ることを知ってもらえると思います。なぜ、9年経っても笑顔で認知症の啓発活動ができているのか、これから認知症の人に接するヒントになると思います。
    ぜひ、多くの人達に見てもらいたい映画です。

  • 音楽 THE CHARM PARK シンガーソングライター、Charmによるソロユニット。

    叙情的で美しい音世界とオーガニックかつダイナミックな楽曲スケール、緻密なメロディセンスとアレンジで注目を集める新世代ポップス職人。自身の作品とは別に、数多くのアーティストへの楽曲提供や映画やアニメの主題歌、CMソングなど様々な分野で作品を手掛けるマルチクリエイターとしての側面も併せ持つ。今年1月にリリースされた配信シングル「Lovers In Tokyo」は東京の魅力を海外にPR する東京観光財団のYouTubeの広告に採用され、2023年3月現在で550万回以上の再生数を誇り、5月には海外アーティストとのコラボ作品がリリース予定など、今後、海外での活躍が大いに期待される。

    誰もが共感してしまうこの素晴らしい物語の主題歌を担当させて頂きました。
    初めてこの映画を観た時の感動に酔い、自分に「忘れて欲しくない事」をひたすら書いてみました。それをメロディに載せて作り上げたのが今回の「セルフノート」です。インスピレーションが溢れる作品にご一緒出来てとても嬉しいです。沢山の方々がこの映画を観て沢山共感して欲しいです。

制作ノート

本作の出発点:映画『ケアニン』シリーズ

市民ホールや学校などの非劇場公開によって13万人以上の人々を動員、感動を伝え続けている映画『ケアニン』シリーズ――『ケアニン~あなたでよかった~』(17)、『ピア~まちをつなぐもの~』(19)、『ケアニン~こころに咲く花~』(20)。「ケアニン」とは、介護、看護、医療、リハビリなど、「ケア」に関わる仕事に誇りと愛情を持って働いている全ての人のこと。そして本作は、その製作スタッフによる最新作だ。
プロデューサーの山国秀幸は、本作の出発点である『ケアニン』シリーズの誕生についてこう語る。「経験や研究から見出した非劇場でヒットする映画のセオリーに基づき、介護の映画を作ろうと思いました。介護の仕事のイメージをポジティブに変えるような、そして認知症ってこういうことなんだ、とわかる映画にしよう、というコンセプトのもと、様々な老人ホームや介護施設で取材を始めたんです。」
映画作りというビジネスで介護の世界に触れた彼だが、次第に「自分の親にも介護が必要になる日が来るかもしれない」という“自分事”として捉えている自身に気づく。また驚いたのは、現場で働く人々が輝いていたこと、そして大変な話ばかりが出てくるのだろうという予想を裏切り、彼らから素敵な話を沢山聞けたことだった。施設によっては、認知症本人達もとても生き生きとしていた。「ひょっとするとこのテーマは、社会的に大きな意味があるのではないかと考えるようになりました。そして予想通り、一作目の完成後、非劇場上映が広がり、ファンの人達が増えていき、その人達が次作を待ってくれているという状況が出来ていったんです。」

本作の出発点:映画『ケアニン』シリーズの画像1

本作誕生のきっかけ:丹野智文さんとの出会い

『ケアニン』シリーズの成功のなか、山国が新作のテーマとして考えていたのは、やはり介護に関わる“お仕事ムービー”だった。それを“認知症本人と家族の物語”に変えたのは、丹野智文氏との出会いだった。
2019年春、『ケアニン~あなたでよかった~』の上海での上映時に講演者として招かれた山国は、認知症本人として講演を依頼されていた丹野氏と初めて出会う。山国は、到着後のバゲージカウンターで他の人の重い荷物を取ってあげるなど気遣いを忘れない丹野氏の紳士的な姿に、抱いていた認知症のイメージが崩れるのを感じたという。そして彼から渡された著書「丹野智文 笑顔で生きる」(著者:丹野智文 文・構成:奥野修司 文藝春秋)を読んで、その前向きな姿を知り、映画のテーマになり得るのではないかと考えるようになる。
「ただ丹野さんだけの話にはしたくなかったことと、認知症ご本人の目線のみで映画を作るのは難しいと思ったことから、いわゆる客観的な視点の人が、自分がどう変わっていかなければいけないのかを見出していく物語が必要だと思いました。その時に、奥様の目線が大事だと思ったのです。」
山国は、丹野夫妻と食事をする機会を得て、奥様から話を聞く。そのなかには、丹野氏が隣に寝ていた奥様のことを一瞬わからなくなった時の話もあったという。でもそれを深刻に受け止めるのではなく、大らかに日常的に受け入れている夫妻の会話を聞き、「お二人の話にすれば、認知症をテーマとしながら前向きで温かい夫婦の話になり得ると確信しました。」
さらに山国はこうも語る。「“お仕事ムービー”は、家族がご本人を施設に預けるタイミングで物語が始まるけれど、実はもっと手前から、例えば認知症と診断された時からそれは始まっている。より始まりに近いところから描くことが映画の役割として重要だと思ったのです。」

映画『オレンジ・ランプ』を通して伝えたいこと

本作を通して伝えたいことを、三原監督はこう語る。「メディアは豊かな暮らしや楽しいばかりの情報を煽りますが、それに乗り切れない人達や、暮らしの現実と戦っている人達もいる。そのうちの誰かが観た時に、ささやかでも生きる希望を感じてくれたり、誰かが寄り添っているんだ、と伝わってくれることを願って、これまでも映画を作ってきました。今回、認知症がテーマであり、認知症ご本人の方々や関わっている方々に対してはもちろん、観てくれた誰かに『置いてきぼりじゃないぞ』と伝える目線で作ったつもりです。」
そして山国は、「世の中はこんなにも美しくて、こんなにも温か。色々なことはあるけれど、こんなにも素敵な人達がいる。若い人達が本作を観て、『世の中、捨てたもんじゃないな』『こうあるべきだよね』といった気持ちになってくれるといいなと思っています。まずはその気持ちがあって、そしてその次に、“認知症とともに生きる”とはどういうことかが伝わって欲しいと思うのです。」

出演者

  • 貫地谷しほり
    只野真央 役
    貫地谷しほり

    1985年12月12日生まれ、東京都出身。2002年映画デビュー。
    2004年、矢口史靖監督『スウィングガールズ』で注目を集める。2007年NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」で初主演を務め、2013年の初主演映画・堤幸彦監督『くちづけ』では第56回ブルーリ

  • 和田正人
    只野晃一 役
    和田正人

    1979年8月25日生まれ、高知県出身。2005年俳優デビュー。
    主な出演作に、NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(13 NHK)「陸王」(17 TBS)、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(17 NHK)、「教場」シリーズ(20、21 CX)、「純愛ディソナンス」(22 CX)や、篠原哲雄監

  • 赤井英和
    島崎社長 役
    赤井英和

    1959年8月17日生まれ、大阪府出身。高校1年生でボクシングを始め、モスクワオリンピック有力候補だったが、日本のボイコットにより、80年近畿大学在学中にプロへ転向。デビュー12連続KO(当時の日本記録)を樹立。“

  • 伊嵜充則
    佐山隆裕 役
    伊嵜充則

    1977年3月17日生まれ、東京都出身。ドラマ「親子ジグザグ」(1987年/TBS)でデビューし、翌年には滝田洋二郎監督『木村家の人びと』(88)にて映画デビュー。黒澤明監督『夢』(90)、『八月の狂詩曲』(91)に出演し、注目を浴びる。そ王」(17 TBS)、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」(17 NHK)、「教場」シリーズ(20、21 CX)、「純愛ディソナンス」(22 CX)や、篠原哲雄監

  • 山田雅人
    加藤光雄 役
    山田雅人

    1961年1月22日生まれ、大阪府出身。1983年、関西テレビ「鶴瓶と花の女子大生」でデビュー。1986年NHK新人演芸コンクール

  • 赤間麻里子
    藤本和子 役
    赤間麻里子

    1970年8月2日生まれ、神奈川県出身。JFCT所属。1989年に劇団「無名塾」へ入団し、1998年まで在団した。舞台出演と並行して映像作品にも出演し

  • 中尾ミエ
    飯塚さゆり 役
    中尾ミエ

    1946年福岡県生まれ。1962年に「可愛いベイビー」で歌手デビューし、16歳にして一躍スターとなる。俳優としても数々の作品に出演。

スタッフ

  • 三原光尋
    監督
    三原光尋

    京都生まれ。大阪芸術大学在学中より映画制作をはじめる。1994年『SLAP HAPPY』にて、おおさか映画祭新人監督賞を受賞。また同年、大阪市の若手芸術家を奨励する“さくやこの花賞“受賞。2005年『村の写真集』で第八回上海国際映画祭・最優秀作品賞&最優秀主演男優賞(藤竜也)をW受賞。主な映画監督作品は、『SLAP HAPPY』(96)、『燃えよピンポン』(99)、『ヒロイン!なにわボンバーズ』(98)、『あしたはきっと・・・』(01)、『ドッジGO!GO!』(02)、『村の写真集』(05)、『しあわせのかおり』(08)、『あしたになれば。』(15)、『広告会社、男子寮のおかずくん 劇場版』(19)など。現在、監督を務めた『ケアニンShort Films season2』がWebで公開中。

  • 山国秀幸
    企画・脚本・プロデュース・原作
    山国秀幸

    1967年1月生まれ、大阪府和泉市出身。介護・医療・地域創生などの社会課題を題材としたエンターテインメント映画の企画・プロデュース、脚本を手掛けている。多くの作品で、原作・プロットを執筆。市民上映会での展開を前提に、人が人を支える社会づくりに貢献する映画製作「シネマソーシャル」を提唱。主な作品:『ケアニン~あなたでよかった~』(17/鈴木浩介監督)、『ピア~まちをつなぐもの~』(19/綾部真弥監督)、『ケアニン〜こころに咲く花〜』(20/鈴木浩介監督)、『天使のいる図書館』(17/ウエダアツシ監督)など。

  • 金杉弘子
    脚本
    金杉弘子

    1974年生まれ。埼玉県出身。バラエティ番組構成作家を経て、2001年「やっぱり猫が好き」で脚本家デビュー。こども幼児番組からアニメ、映画、ドラマ、作詞、小説など幅広く多くの作品を手掛ける。
    NHKおかあさんといっしょ人形劇『モノランモノラン』『ポコポッテイト』脚本・作詞。アニメ『ジュエルペット』シリーズ脚本、児童向け単行本『アンソニー、きみがいるから~盲導犬がはこんでくれたもの~』(ポプラ社ノンフィクション)、他多数。2022年にはドラマ「不幸くんはキスするしかない!」、映画『海岸通りのネコミミ探偵』の脚本を担当。

  • 丹野智文
    企画協力
    丹野智文

    1974年、宮城県生まれ。ネッツトヨタ仙台に勤務。39歳のときに若年性アルツハイマー型認知症と診断される。診断後は営業職から事務職に異動し、勤務を続けながら、不安を持っているご本人のためのもの忘れ総合相談窓口「おれんじドア」実行委員会代表を務める。自らの経験を語る講演活動にも力を入れている。

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